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しってる/しらない まじでbadなわたし落ち着かない それズバッと言えたら悩みは無い キミがふわっとしてて何考えてるか わかんない 謎は解けない なんとか言って もしくはキスで ただ待ってね 準備整うまで まだバレてないの友達には には たかが100とか200分のイチでしかない女の子 って思ってるのかもしれないね 誘ってるけど興味ないぜんぜん か/く/し/て あの子にバレちゃ 探り入れられてもダメさ こっそり距離縮めようか 度胸実はあんまないねんなあ もっとしたいね おしゃべり 君にそっと触れたいよ パーティー (あーまいあーまい)夜の中に (かなりあいまい)反応はナシ? ※hook なんとか言って なんとか言って なんとか言ってよ give me some more! イェー!とか言ってホー!とか言っても こっち見てくれない君だよ 思い寄せてるのに気づかない? 入り口はどこよ キミの世界 残りちょっと時間止まらない? この夜だけしかチャンスはない どれだけ願っても一日は24時間 延長戦はナシ 君は知らんぷり な そぶりで何も興味ない〜よな宇宙人 ど/う/し/て こっち見ないのよ 想像してうまくいく君と 何が必要?好かれる彼女 髪型?服装?理解?算数?国語? もっとしたいの おしゃべり 始めよう本当のパーティー (なーがいなーがい)夜も終わり 音楽も止まっちゃったみたい ※bridge 君は私の事 わたしが知ってるほど 知らないのつまんない いやだよつまんない ※hook なんとか言って なんとか言って なんとか言ってよ give me some more! イェー!とか言ってホー!とか言っても こっち見てくれない君だよ 思い寄せてるのに気づかない?知りたいだけなの キミの世界 音にちょっとだけ乗せた願いこの気持ちだけはいつわらない
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最近、唯先輩が抱き付いてこなくなった。イヤがる私に無理矢理、キ…キスしてくることもここ二週間すっかり止んでいる。 自分が美味しいと思ったおやつも分けてくれるけど、「あーん」はしてこない。 丁寧に切り分けて渡してくれる。食べてるおやつがふたりで違うときは私も切り分けて、ふたりで半分こ。 時々羨ましがった律先輩と争奪戦になるのは余談。 入部した直後は過剰なスキンシップについていけなくて呆れてしまったのだけど、今では唯先輩の体温を感じられない日があるとたまらなく寂しい。 でもね。生意気だから嫌われちゃったのかな―って心配は不思議となかった。 ていうか、過剰なハグとキスがないだけで、それ以外で唯先輩の態度に変わりはないんだもん。 これで呼び方があずにゃんから梓ちゃんとか中野さんとか、他人行儀なのに変わったら立ち直れなかったけど。 「えへへ…梓♪」 むしろ進展しちゃってます。他の先輩たちと別れてからは大体呼び捨てで呼ばれてるし、私もその…ゆ、唯って呼ぶこともある。 私たちふたりだけの、特別な呼び方。 だから余計に不思議。 手を繋ぐことは増えたけど、抱き合う機会は少なくなって。キスも強引じゃなくなって。 覚えるのは不安じゃなくて違和感。前よりもっと仲良くなってるのに、けれど感じる体温は遠くなった気がして。 「あの、唯…最近、あまり抱き付いてこなくなりましたよね? どうか…したんですか?」 いつもの帰り道、思い切って唯先輩…唯本人に尋ねてみた。 不安…はやっぱりちょっとあったのかも。そのことを尋ねるとき、繋いでいた手につい力が入ってしまった。 唯のこと、信じてるけど…でも、この温もりは離れて行ったりはしないよね…そう訴えるように。 「うん? それはほら、梓ってりっちゃんにハグされるのが好きでしょ? だから、だよー」 台詞だけ抜き出すと言い方にトゲがあるけど、唯の顔は朗らかそのもの。「梓の好きなもの持って来たよ~」って感じだ…ていうか、私と律先輩がどうしてそこで繋がるのかな? 「普通、自分の恋人が友達とは言え他の人に抱き付かれるのってイヤじゃないですか?」 「好きな子だからだよ~。好きな子には一番好きなことしてて欲しいじゃん。梓が楽しければ私はそれが一番だもん」 「私、そんなに律先輩と楽しそうにしてました?」 「それはもうジェラシーしちゃうくらいじゃれついてたよ~」 ジェラシーと言いつつ、唯の顔はほにゃって笑ってる。「梓とりっちゃんが仲良くしてると私も嬉しいし」って付け加えて。 確かに律先輩にはいつも楽しいし、あの明るさには励まされているけど… 「それでハグは律先輩に譲った…ってことですか?」 「そだよ~」 「おやつを切り分けるようになったのは?」 「みんなの前であ~んってやると梓困って食べられなくなっちゃうんだなーって気付いて。 ごめんね、もっと早く気付いてあげたかったんだけど」 「はぁ…気の使い方がおかしいですって」 毎回毎回ヘンなことばかり天然でやってしまう唯に―誰より近くにいてくれる恋人に、私は苦笑混りの溜め息を吐く。でも、どうしたって呆れ顔は作れなかった。 だってどんなにおかしな奇行だって唯は私を想ってしてくれたんだもん。 溜め息ついてるくせして顔が顔が綻んじゃっても仕方ありません。 …そうは言ってもね、唯。 「唯はそれでいいんですか? 本当はハグもあ~んもしたいんでしょ?」 「うっ…さすが梓、お見通しだったかぁ」 「唯の考えてることならなんだってわかりますよ。…したいんですよね?」 「実は今、禁断症状と戦ってる真っ最中でありますっ。梓をハグハグしたい病のっ」 「なら遠慮しないで解禁してください――」 私だって唯とおんなじですよ。あなたには一番好きなことをして貰いたい。遠慮とか我慢とかしないで、とびきりの笑顔を私に見せて欲しいんです。 あなたの一番は私なんですから。私の一番はあなたなんですから――何をされたって幸せふたり分です。 幸せはふたり一緒に味わえます。 「――私は唯の体温も何もかも欲しくて…大好きなんですから」 解禁するやいなや「あ~ずさ~♪」って言いながら、繋いだのと反対の手で唯は私をぎゅ~って抱き締めた。 久し振りに全身に感じた唯の体温は、身も心もとろけてしまいそうになるくらい温かった。 こうゆうのいいね -- (鯖猫) 2012-07-31 00 31 04 名前 感想/コメント: すべてのコメントを見る
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“それ”は七番目の七不思議の七人目と呼ばれていた。 彼女は飽いていた。 怪異として学校の一室に在り続けることを。 挑む者すら稀となった怪異の主でいることを。 故に、彼女は挑戦状を投げた。 【 あんたはあたしのための物語へ潜らなければならない あんたはあたしのための物語に挑まなければならない あんたはあたしのための物語を崩さなければいけない 】 やれるものならやってみろと。六つの物語を完遂してみろと。 七番目の七不思議の七人目を倒せるなら。 こちらの流儀に付き合ったうえでやれるならやってみろと。 …普通であれば、このような胡乱な誘いに乗る馬鹿はいない。 しかし。此処に集うはとびきりの愚者。 そして愚者同士は引かれ合う。 だからこそ彼ら彼女らはとある学園の一室に引き寄せられた。 そして挑戦状を受け取り、物語に挑んだ。 これは偶然ではない。必然だ。 挑みし者は。 込清 三千彦 マリアライト・レオマ 我道 蘭 遊葉 天虎 九頭龍 次郎 戸村 純和 ――結論から言おう。 今宵、六人の愚者により六つの物語は完遂された。 残るは高き塔で待つ七人目のみ。 嗚呼、月が綺麗だ。 人が死ぬにはいい夜だ。人を殺すにはいい夜だ。 七不思議を語るには…とてもとてもいい夜だ。 ◆◆◆ 私を月まで連れてって ◆◆◆ 1.校舎の踊り場で合わせ鏡をすると妖精が手に入る はじめまして。私の名前は山乃端 一人といいます。 一人目…というやつでよろしいでしょうか。 え?次は二人目じゃないかって? ふふ、お詳しいんですね。 でも間違っています。我々七不思議は、七日間で輪廻するんです。 一週間で復活するんです。 はい、そうです。 もし私たちを消したいなら、一週間以内に六つの物語を完遂して、“七人目”を倒さなきゃいけないんです。 何故…? 七不思議ってそういうものでしょう?誰が語ったか分からないけど、いつの間にか在る怪異でしょう? 中身は入れ代われど、 “七不思議”は在り続ける。 そういうものでしょう? まあ、誰が物語を完遂したか、は問わないんですけどね。集団で挑んだっていいわけです。 命知らずが集まるなら、ですけどね。 私は失敗し、取り込まれ、物語の一つになってしまいました。 七不思議になってしまったからには仕方ありません。 次の獲物を待っていたんです。 そうしたら、のこのこと合わせ鏡に挑戦する人が来たんです。 素人の私でも分かる、鍛え抜いた肉体の人でした。 その人は踊り場に大きな鏡を持ち出して自分を映し続けました。合わせ鏡を作ったんです。 条件が整ったので私は妖精を出しました。 ふわふわとした光です。 妖精といっても、正体は“その人が恐怖するもの”なんです。 私の場合は赤ん坊でした。その恐怖に身が固まった瞬間に命を刈り取る。 それが第一の不思議の正体なんです。 ところが、その人は恐怖しませんでした。 文字通り怖いものなしだったんです。 無防備に飛び出た光に正拳突き一発。 それだけで終わりでした。恐れのない人に私は力を発揮できません。 どんな人生を送ればあんなにストイックになれるんでしょう? ただただ武に邁進する事が出来るんでしょう? ・・・その人、ですか?ええ、覚えています。 九頭龍 次郎、というお名前だったと思います。 とはいっても、私は新参者。 次は二人目に任せるとしましょう…。 2.夜の赤い靴公園で首吊りをすると理想が手に入る どうもこんばんわぁ。ワタシが二人目。 赤い靴公園の怪異なんても呼ばれているわ。 首を吊ると理想が手に入る?そのとーりよ!ワタシの力でさ! 楽しく嬉しく気持ちよく死ねちゃうの!理想の死に方ってやつでしょう? え?死ななきゃ物語を完遂できないのはズルい? “七人目”だって言ってたでしょ? 七番目の七不思議は、ひとつ知るのも命がけ。ってさ! 全部の物語の結末を見ようなんて土台無理なのさ。 じゃあなんでここに来ているのか? いやなことを聞くねえ。完遂されたからに決まっているじゃないか。 若い、二十代半ばの男だったよ。人好きのする笑顔だった。 あいつはさ、この公園に女を連れてきていた。 ナンパでもしたんだろうね。暗がりに連れ込まれた女は頬を赤くしていたよ。 男は女の耳元で囁いたんだ。愛の言葉なんかじゃない。 「首を吊ったとか、経験無いでしょ?」 ってね。 その瞬間さ。黒いもやみたいな縄が女の首に引っかかって、公園の樹木でぶらーんぶらん。 女は一瞬驚いた顔を見せたけど、幸せそうに、心から最高だという風に死んだよ。 理想の死に方さ。 …怪異ってやつはルールを破れないからねえ。 自分の意志だろうが無理矢理だろうが、首を吊ったなら理想を提供しなくちゃいけない。 第二の不思議の顛末を、あいつは笑いながら見ていたよ。 ワタシなんかが言うのも妙だけどさ、あいつはヤバいねえ。 名前?当然覚えているさ。 込清 三千彦 って言ってたねえ…。 続きは三人目に聞くといいさ。 3.人外神社の賽銭箱で薬指を切ると恋人が手に入る フ、フフ、フフフ!お、俺が、俺が三人目だ。 人外神社の怪異なんても呼ばれてるなぁ。 指を切ると恋人が手に入る?事実、ジジ事実さ。 最高の恋人。 死なない恋人。 死なせない恋人。 その恋人と、 いつまでも いつまでも ずっと一緒になれるんだ! よ、要するに、これはババ抜きなのさ。 ここで“恋人”と一緒にいる奴が必要、な! 長く待ったよ、ここで薬指を切る馬鹿が来るのを! そして、つ、ついに来たのさ。 目の下にクマを作った、茶髪の男だった。 あいつは迷わずに指を切って、血を賽銭箱に捧げたんだ! 俺は嬉しかった!小踊りしたねえ!恋人から離れることができた俺はあいつに言ってやったんだ! 「馬鹿め!馬鹿め!ざまあみろ!ユユ指を切ったな!」 ってね!そうしたらあいつはさ、小首をかしげて不思議そうにこう言ったんだ。 「それは勘違いでしょう?切ったのは貴方じゃないですか?(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)」 って…。 ああ、ああ ああああ なんでだろうなぁ!なんで俺は、俺が切ったって思っちゃったんだろうなあ! 恋人の!フヒ、フヒヒ!コイツのところに自分から戻っちゃったのかなあ! ああ!ああああ! 戸村 純和! あいつじゃなければ!ババを引いたのは俺じゃなかったのに!! 助けて!助けてよぉぉ…また指を切りに来てくれよぉぉぉ! 4.全て知らない人にはこれだけはまだ教えられない はじめまして。僕が四人目です。 僕はね。七不思議最強の番人なんです。四は死…ってね。 この不思議の正体はね。 【怪異を新しく作らなくてはいけない】のです。 自分で言うのもあれですが、無理難題。初見殺しってやつです。 怪異になるには、大抵命を捧げなくちゃいけない。 「色々ありましたが無事に帰る事が出来ました。めでたしめでたし(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)」 なんて話、誰も怖がらないですからね。 三人目までの物語が終わった時点で僕は発動しました。 学園の一番近くで七不思議に挑んでいる人に対して。 商店街をその人は歩いていました。 大きな大きな女の人でした。 【七不思議を追っている人が、商店街の真ん中で首がへし折れて死んでしまいました】 なんてどうでしょうか?恐怖と共に語り継がれるでしょうね。 ええ。ですから僕はやりました。躊躇なく。 ゴキリと。彼女の首を180度回してやりました。 それでもね、彼女は生きていたんですよ。 首が真後ろに回転したって言うのに! それどころか、笑ったんです! 「ハハハハ!紙一重だった!危ない危ない!こんなこともあるんだな!」 そう言って真後ろを向いたまま、物凄い速度で駆けていきました。 そうです。巷で噂の【商店街の後ろ女】ですよ。 見事に生きたまま怪異になられては、僕に出来ることはもうありません。 ・・・七人目には怒られるかもしれませんが、僕は少し嬉しかったです。 何十年も同じことをしてきましたから。思ったより疲れていたみたいです。 長い物語の幕を下ろすのが、あんな人ならなぁ。 その人の名前、ですか?覚えていますとも。 我道 蘭。素敵な名前ですよね。 5.恋人のいる図書館でタロット占いをしてならない …出番があるなんてねえ。 【恋人のいる図書館でタロット占いをしてはならない】 馬鹿げているねえ。だってタロットには最初から【恋人】が組み込まれているんだ。 四人目が消えて、図書館でタロット占いをした時点で儂という怪異は発動するんだよ。 タロットってのは愚者から始まり世界に至る、人生という長い旅路の象徴さね。 だから儂は、良~い旅路を見せてやるのさ。苦しいことなんてない夢の旅路をね。 その夢からは戻ってこれやしないよ。居心地がいいんだから。 気が付いたら…ヒヒ!儂みたいなしわくちゃになってるって寸法さね。 …美しい女だったよ。儂が男だったら、思わずしゃぶりつきたくなるような。 こういう女の若さが潰えるさまを見るのは興奮する。そうだろ? ところがさ、あの女は儂の術中にはまったっていうのに、ものの数分で 「楽しい夢でございました」 と言って夢を霧散させて去っちまった。 …あの女にとって、人生は、辛いことが前提なんだ。痛くて苦しくて当たり前なんだ。 だからすぐに夢だと気が付けた。 だからといって、出来るのかい?辛い現実に戻る事が出来るのかい? 儂には分からん。本当に分からないんだよ。 …マリアライト・レオマ。 なんであの女は、傷だらけでも笑っていられるんだろうねぇ…。 6.夢で見た赤駅のことを六人目に語ってはならない ふわりふわり あなたはゆめをみる がたんごとんがたんごとん まっかな血でいっぱいのえきにでんしゃがくる でんしゃにのるのは おさるさん げらげらげらげら わらってる とてもぶきみで ぐるぐるしたゆめ だけど そのゆめを わたしに はなしちゃいけないの ぜったいに はなしちゃいけないの もし はなしたら? ああ なんてことをきくのかしら はなしちゃいけないことを はなしちゃったらどうなるか あなたは ものがたりをよんだことがないのかしら 私が殺すに決まってんだろ わたしは「くろあり」のひとりにばけたの おじょうさんは いやなゆめをみたのかしら あせだくでとびおきたの だからやさしくきいてあげたの 「どうかしたか?いやな夢でも見たのかよ?話せば楽になるぜ?」 …わたしの なりすましは かんぺきなの ほんとうに そっくりのすがたになれるのよ だけど かのじょは すぐさま てっぽうで ばん! ばん! わたしのかおは ざくろみたいに でろりとわれて あかくあかく そまったの ゆめのなかの えきみたいに まっかにまっかに そまったの 「そういう生温い心配をされたことはないヨ!」 だからって ふつう いきなり ぶっぱなす? いやいやおかしいよあいつ 遊葉 天虎 もうにどと おあいしたくないわ …あはは!やられちゃった!ろくにんきれいにまけちゃった! ななにんめ!がんばって!がんばって! ただじぶんのやりたいように!夢のようなじかんをすごしなさいな!! ◆◆◆ ―――こうして、ものの見事に六つの怪異たちは完遂された。 物語の役目を終え、奇麗に消え去った。 悍ましい怪異たちを下した愚者は、学園の一室に向かった。 これが運命だろうか。 綺麗に時間差で向かい、一人ずつあの教室を訪れた。 そこには一枚の書置きが残されていた。 【この国で一番高い塔で待つ 七番目の七不思議の七人目より】 込清 三千彦は、いつもの人好きのする笑顔を崩さなかった。 マリアライト・レオマは、一つ微笑んで愛の力を信じた。 我道 蘭は、口笛と共に教室を出た。 遊葉 天虎は、静かに熊の人形を撫でた。 九頭龍 次郎は、何一つ変わらなかった。 戸村 純和は、僅かばかり眉をひそめた。 そうして、選ばれし愚者たちは夜のスカイツリーへと向かった。 殺し合いが、始まる。 とびきりの愚者たちと、不朽の七不思議の、潰し合いが始まる。 最終勝者は、只一人也。 ◆◆◆ 時刻は23時。 もはや観光客もいない天高くそびえ立つ塔。 地上451.2m、入場者が入れる最高地点であるソラカラ展望台に愚者は集まっていた。 いずれも一癖も二癖もある強者であるが、一際目立っていたのは一つの怪異であった。 七番目の七不思議の七人目、と呼ばれていたその怪異は、六つの物語を完遂されたことにより、この世に顕現していた。 身の丈は約3m。198㎝の我道が小さく見えるほどの巨体。 肉塊、としか表現のしようのない物で構成された巨体は全身が得体のしれない液体で蠢いていた。 肉塊の集合体の中、顔だけは冷たく整った女生徒のものだった。 その化け物は澄んだ声で語り始めた。 「百物語…って知ってるかなぁ?一晩に百の物語を完遂すると、最後に怪異が出現するってアレさ…」 じゅらじゅらと嫌な音を立てながら化け物は呻く。 「アレはねぇ、一種の術式なんだ。物語の力を借りて怪異をこの世に顕現させる儀式なんだ…」 楽しそうに。我慢できないという風に語り続ける。 「命がけの物語を!六つも完遂させたら!どれだけの怪異が生まれると思う…?ありがとう!お前たちのおかげで封印はとかれた!」 ぶちゅるぶちゅると涎を垂らしながら、嬉しそうに告げた。 「ありがとう!愚者どもよ!お礼に、とびっきり綺麗に殺してあげるよぉ!!」 化け物の咆哮。普通であれば声だけですくんでしまうような恐怖そのもの。 しかし、夜の塔に集まった愚者たちは、誰一人怯みはしなかった。 それどころか、静かに微笑んで見せた。 なかでも一番楽しそうにしているのが――――喧嘩屋。我道 蘭。 「~!いい!いいねえ!この空気!闘争の空気!どいつもこいつも最高だ!」 息を一つ大きく吸うと、どこまでも通る声で叫んだ。 「さあ!闘争しようぜ!」 それは戦いのゴング。血みどろの死闘の合図。 愚者たちは弾かれたかのように動き出した。 それは狩人の本能であろうか。 愚者はそれぞれ、自らが倒さねばならない相手に向かっていく。 込清 三千彦VS戸村 純和 マリアライト・レオマVS遊葉 天虎 我道 蘭VS九頭龍 次郎VS七番目の七不思議の七人目 繰り返す。最終勝者は只一人也。 ◆◆◆ 闘争が始まった瞬間、九頭龍は猛然と我道に襲い掛かった。 何年も鍛錬を積み重ねた、お手本のような上段廻し蹴りを見舞う。 我道の受けの上から乱暴に衝撃を与える。 みしりと嫌な音が響き、百戦錬磨の我道が僅かながら顔を歪めた。 息つく間もなく九頭竜は動きを変える。 九頭竜の能力は『オールマイティ』。名は体を表すとはよく言ったものであるが、 格闘家としての九頭竜は投極打をまさにオールマイティに使いこなす。 投げから関節へ、関節から打撃へ、打撃から投げへ。 鮮やかにつないでみせる。 上段蹴りを受けた我道に対し、瞬時に関節技を仕掛ける。 我道のかかとに肘の内側でフックをかけ、両足で膝を固定し全身を使って捻り上げる。 ヒールホールド 膝を捻るという性質から筋力による抵抗が出来ず、靭帯と半月板を瞬時に破壊する、多くの格闘技で禁じ手とされる破壊技である。 上背のある相手に対しては足から崩すのが基本中の基本。 蹴りを撒き餌とした、熟練の関節技は我道の足を粉々にするはずであった。 靭帯を引き裂く音がするはずであったにも関わらず、手応えが全くない。 我道の膝関節はぬるりとありえない方向に回転していた。 「…相性…ってやつだな。悪いが、私に関節は効かねえ」 引き倒されるはずの我道は仁王立ち。悠然と、足にぶら下がる九頭竜を見下ろしたかと思うと、無慈悲に拳を叩きつけた。 ぐちゃりと嫌な音を響かせ、九頭竜の頭蓋は爆ぜ、スカイツリーの床の染みとなった。 敗因は、運、相性。 そしてあえて言うならではあるが、格上との戦いを望みながらも、10年同じ環境で戦い続けた狭い世界観。近接戦闘型の魔人に安易に関節技を仕掛ける、経験不足の露呈。 格下相手と戦う虚しさも、格上相手と戦う高揚感も、味わう間もなく九頭竜は息絶えた。 勝者:我道 蘭 無敗の格闘家をトマトペーストに変えた我道は、笑顔と共に七人目に語りかける。 「い~い感じにあったまってきたなァ!次は!お前だぜ!七人目!」 巨大な怪異にも臆さず、びしりと指をさす。 その姿を、七人目は、にちゃりと笑った。 裏社会随一の喧嘩屋と、不滅不朽の怪異との潰し合いが幕を開けた。 ◆◆◆ 一つ離れたエリア。 対峙するはマリアライト・レオマと遊葉 天虎。 挨拶などいらぬとばかりに遊葉は弾丸の雨をマリアライトにぶつける。 「ド派手に!ぶちっかますぜーーー!!」 BANG!BANG!! 無茶苦茶に、無軌道に、乱暴に銃弾をばら撒いているように見えるが、全ては計算と経験に基づいた発砲。 床、天井、壁。それらを十全に利用し、跳ねる弾丸同士をぶつけ全方位から攻撃を仕掛ける。 極めし型の名は“中二丁拳銃”。 天才を自称するだけはある技の冴えが、愛に生きる修道女を襲う。 マリアライトは魔人ではあるが戦闘のプロというわけではない。 避けようとしたが、何発もの銃弾が腕に、脚に、腹にめり込んだ。 しかしその傷は瞬時に地面に受け流される。 『緋色の歓傷』は傷を移動させる能力。 自分の傷を地面に逃がす程度なら、一秒もかからず実行可能。 即死級の一撃に気をつける限り、マリアライトは不死身と言えた。 『ぷきー!ぷしゃー!』 「わかってるって!受け流し能力!だったら一撃で仕留めるまで!!」 脳髄。心臓。そこを重点的に狙い一斉射撃をする。 「あらあら、確かに私はプロではないですが…」 銃弾の嵐がマリアライトに降り注いだ。 その猛攻は腕をえぐり、脚を削り、腹に穴を開けた。 それらは即死の一撃ではない。 であるならばマリアライトにとってはかすり傷みたいなものであった。 即座に受け流しケロリと笑う。 「来る、と分かっている攻撃くらいなら、ずらせますわ」 『ぷみぷー!!』 テディベアの忠告よりも先に、遊葉は駆けだす。 (ある程度の距離を置いての射撃ならば、こいつは多少だけど見切る!) その多少が、能力と組み合わさることで圧倒的防御につながる。 ならば距離を詰め、直接脳髄に弾丸をぶち込むまで。 シンプルな結論を導き出し遊葉は距離を詰めにかかる。 「そう来ると思っていましたわ!」 中間距離ならばこちらの土俵だと言わんばかりに、マリアライトは鞭を振るう。 達人、というほどではないが、熟練と言って差し支えのないレベルの鞭術。 遊葉の銃撃を封じるほどではないが、即死の一撃を阻む程度には強烈。 ひたすら近づけさせず、自身は能力で回復。 マリアライトが選んだのは持久戦であった。 「うっ!?」 しかしなんたることか。風吹かぬ屋内であるにもかかわらず、マリアライトの目にゴミが入った。 『儲かる桶屋』(オーキードーキー)。 遊葉の『黒蟻の軍勢』によりコピーされた能力の一つ。 対象に一回のみ、目にゴミを入れる能力。 あまりに細やかな妨害ではあるが、遊葉にはその一瞬があれば十分だった。 猛然と駆け寄り、手の届くほどの距離に詰める。 瞬時に銃弾を脳髄と心臓にぶち込みにかかる。 しかし、近づかれたにもかかわらず、マリアライトは微笑んだ。 遊葉は接近戦を選んだのは自分だと思っているようだが違う。 そうするように仕向けられたのだ。 至近距離ならば、『緋色の歓傷』の効力は最大限に発揮される。 マリアライトに刻まれた傷を、相手に移す事が出来る。 能力を全開にし、自身の傷を遊葉の喉元に発現させようとする刹那、マリアライトは見た。 遊葉の股間に雄々しく主張する男根の影を。 常に余裕を崩さず、たおやかに微笑んでいたマリアライトが一瞬ではあるが揺らいだ。 マリアライトは愛の人である。それは間違いない。 しかし、男と女であれば、女を優先的に愛していることに疑いはなかった。 戦災孤児として、下劣な男たちの慰み者として働かされていた過去は、彼女に否応もなく根付いていた。 男を憎む、というわけではない。 ただ、男に虐げられる女を救いたい。女を暴力で屈服させようとする男を誅したい。 決して口にはしないが、確かに備わっているマリアライトの願望であった。 だからこそ、女性専用の保護施設『薔薇館』を設立した。 だからこそ、『薔薇館』に殴り込んできた悪漢を返り討ちにするとき、男根を刻んだ。 だからこそ、マリアライトは『緋色の歓傷』を遊葉の男根に発現させた。 男根を刻まれて怯まぬ者などいない。 それが本当に男なら、であるが。 「え?」 マリアライトらしからぬ間抜けな声が響く。 『ダンの遺影』。『黒蟻の軍勢』によりコピーされた能力の一つ。 股間に空気を入れ、巨大な男根で膨らんでいるかの様に見せるだけの弱能力。 遊葉の股間からプシュッと空気を抜いた音がした。 マリアライトは一手無駄にした。その一手は、天才ガンナーの前では致命的に過ぎた。 BANG!BANG!! 恐るべき早撃ちで、マリアライトの脳髄と心臓は吹き飛ばされた。 (私を下すのは、強い女の子、ですか) その事実は、マリアライトにとって僅かながらの救いであった。 「にゃはは!大勝利!120点!!」 勝者:遊葉 天虎 ◆◆◆ 一方、逆サイド。 体験を付与する『百聞は一見に如かず』を操る込清 三千彦に向きあうは、 『疑わしきは罰せよ』により記憶を改ざんする戸村 純和。 奇しくも言語を操る魔人同士。 互いに会話をトリガーにする能力。 先手必勝とばかりに同時に口を開く。 「「やあ」」 挨拶は完全に同時。互いに会話は成立したと認識をした。 「こんな経験は…」 「久しぶり!親友(・ ・)じゃあないですか?」 『百聞は一見に如かず』による体験付与をしようとした三千彦より半歩早く、 戸村の『疑わしきは罰せよ』が突き刺さった。 瞬間、三千彦の脳内に溢れかえる存在しない記憶――― 夕焼けの通学路を共に帰った。 バイト代を溜めて一緒にバイクを買った。 キャンプ場では満天の星の下で馬鹿話を繰り返した。 【戸村 純和は、かけがえのない親友である】 記憶改ざんは完璧になされた。 乱戦になった以上、仲間を増やして最後に総取りするのが得策と戸村は判断したのだ。 その判断は決して間違っていない。 「お!親友!戸村じゃないっすか!」 ただ問題は。 「ところで、アキレス腱を斧でぶった切られた経験とか、無いでしょ?」 三千彦が、親友であろうと即座に切り捨てる精神構造を持っていたことだ。 「!!???」 両アキレス腱を断たれた戸村は悶絶をする。 まだ『疑わしきは罰せよ』は効いている。それでも三千彦は一切手加減する様子がない。 三千彦は自分が小さな人間だと思っている。 銃器の直し方と銃の撃ち方と爆弾の作り方と人の殺し方くらいしか(・ ・ ・ ・ ・)できないと思っている。 三千彦は、人は誰もが未知の世界を教えてくれる先生だと思っている。 そんな先生と話し合えるためなら、誰もの命を踏みにじっても良いと思っている。 発想が非常に極端なのだ。 第一の願いを果たすためなら第二の希望も第三の宝も逡巡なく捨て去れる精神構造をしているのだ。 「電流を脳髄に喰らって、会話を強制されたことも無いでしょ?」 「アギャ!?!?」 黒いもやが戸村の頭を覆い、電流を流し続ける。 出したくもない奇声が戸村の口から零れるが、三千彦はこれを会話と認識した。 「ぶっつけ本番ってのは、不安があったんすよ。ちょいと試すっす」 人好きのする笑顔を崩さずに畳みかけた。 「あばら骨をハンマーで砕かれたことは無いでしょ?」 「目玉を焼かれたことは無いでしょ?」 「膝を鉈で…」 「耳に釘を…」 「肌を剥いで…」 一瞬で戸村はズタボロの肉人形にされた。酸鼻な拷問体験の実験台にされた。 「…やっぱり、タケさんは優しいや」 感極まった笑顔と共に三千彦は言葉を吐き出す。 「タケさんに、チンピラを譲ってもらったんす。そいつを徹底的に、拷問して、その体験をその場で俺に話してもらったんすよ」 追体験させる事象は、三千彦が聞いたことのある体験談でなくてはならない。 しかし、体験談を聞きだす方法自体に縛りがあるわけではない。 三千彦が無理矢理体験させ、無理矢理語らせた事象であっても対象となるのだ。 「ありがとう!これで俺は願いに近づける!あらゆる人と会話できる世界が待っている!」 心の底から三千彦は告げた。 「持つべきものは友達だな!」 勝者:込清 三千彦 ◆◆◆ ガツン。ガツン。ゴキン。 殴り合っているはずだというのに、金属をぶつけあうような硬質な音が響く。 「ハハ!ハハハ!いい!いい!最っ高だ!」 高らかに笑うは喧嘩屋、我道 蘭。 殴り合うは封印を解かれし怪異、七番目の七不思議の七人目。 「最高!最高!確かにその通りね!」 七人目もまた高らかに笑っていた。 超重量級の殴り合いは展望台の屋根の上で行われていた。 屋内は狭いとばかりに両者は窓を突き破り、外に出ていたのだ。 空には星。地上には人々の営みの光。 風のない夜、空気は澄んでどこまでも青く。 そんな絶景に目もくれず互いに豪快に殴り合う。 七人目は、飽いていた。 怪異として学校の一室に在り続けることを。 挑む者すら稀となった怪異の主でいることを。 それが今はどうだ。 美しい夜空の下で、思う存分に力を振るう事が出来る。 薄暗い夕暮れの教室ではない。この国で一番の塔で暴れる事が出来る。 七人目は喜びに任せ、規格外のパワーを持つ我道を真正面から打ち崩しにかかる。 裏社会に名を轟かす喧嘩屋相手に殴り合いなんて、普通であれば無謀極まることであるが、生憎七人目は普通とは無縁だった。 むしろ超常の怪異を相手に殴り合っている我道の方が異常なのだろうか。 人間離れしているのだろうか。 化け物が二体。楽しそうに、それはもう楽しそうに殴り合い続けた。 夜の塔に打撃音が響き渡る。 ◆◆◆ 化け物同士の殴り合いは、七人目が優勢だった。 序盤は、間違いなく七人目が圧倒していた。 しかし、気が付けば風向きが変わっていた。 (…!なんなのこの人間!) 我道はひるまない。怯えない。立ち止まらない。 七人目の猛攻にあばらを砕かれ、右目を潰され、左耳を飛ばされても。 肝臓を半分潰され、膝を割られ、拳を砕かれても。 「最高だ!!もっと!もっとだ!駆け抜けようぜ!!」 止まるどころかますます苛烈に攻めてくる。 口から血の塊を吐いても笑顔が曇らない。 割れた膝を強引に奮い立たせ、砕けた拳をそのままぶつけてくる。 勢いが衰える様子が全くない。 (怖くないの?死ぬのが、怖くないの?) そう思った瞬間、七人目は何故自分が押されているかを理解した。 怖いのだ。 ずっと一人ぼっちで怪異の主を続けていた七人目にとって、この殴り合いは初めてと言っていいほど充実した時間だった。 その時間が終わるのが惜しい。終わりが来るのが悲しい。 初めての楽しい時間だからこそ、無くなるのが怖い。 その恐怖が、七人目の動きを鈍らせる。 その悲しみが、七人目の行動を縛る。 そうして躊躇っている間にも、我道は止まらない。 砕けて骨がむき出しになった拳を猛烈に回転させ、槍のように突き刺した。 腰を超速で回転させ、尋常ならざる威力の二回転ラリアットをぶち込んだ。 七人目が膝をついたのに合わせて、下がった顔面に豪快な頭突きをした。 七人目の美しい顔が紅潮し、目が血走り、叫ぶ。 「…なんなのよ…あんた…!一体なんなのよ!」 七人目が巨木を思わせる腕で薙ぎ払う。 まともに食らった我道は派手に吹き飛ばされたが、瞬時に立ち上がりまた七人目に向かい駆けだす。 「楽しいわよ!こうしてあんたと殴り合うのはさ!だからこそ!怖くないの!?終わるのは嫌じゃないの!?」 我道は止まらない。迷わない。揺るがない。 嫌な音がする膝を無視して力を籠め、高く、雄々しく跳躍した。 跳躍の力を拳に伝える、変則ジョルトブロー。 通称、スーパーマンパンチ 死力を振り絞りながらも、笑顔と共に我道はさらりと告げた。 「怖い?考えたこともねえ」 七人目は降り注ぐ拳を黙って受け入れた。 満天の星を背に血まみれでも楽しそうに笑う我道を。 空から拳と共に迫る我道を。 自分自身にすら飽いていた七人目と違い、どこまでも自分に真っすぐな我道を。 七人目は、長い物語の幕を下ろす者として相応しいと思ってしまったのだ。 「ウッダラアアアア!!」 雄たけびと共に繰りだされた回転拳は、七人目の右顔面を叩き潰した。 べちゃりと嫌な音と共に巨体が崩れ落ちる。 七人目を構成していた肉塊がどんどんと腐り落ちていき、最後に残ったのは右顔面を欠いた矮躯の女生徒だけだった。 その女生徒の腕も、脚も、ボロボロと崩れていく。もう長くないのは明白だった。 それでも油断をせず構える我道に対し、七人目はニコリと、静かに笑って穏やかに告げた。 「あたしの…負け、かぁ…じゃあ…最期に…一言だけ…」 血にまみれ、左顔面しかない女生徒が月明かりに照らされる。 「色々ありましたが…。その女の子は、本当に、本当に満足したのです。めでたしめでたし(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)」 それは心のどこかで言いたかった言葉。 人を害する怪異の主として、怪談として、決して許されるはずのない言葉。 闘争の化身である我道すら一瞬見惚れるほどの笑顔と共に、七人目はゆっくりと光に包まれて消滅した。 勝者:我道 蘭 ◆◆◆ 七人目の所有していた、塔のカードの半分が我道に吸い込まれる。 目玉、拳、膝、内臓の傷がみるみると癒えていく。 一回、二回、拳を握り確認するが状態は万全。 屋外ならば問題ないだろうと一服。 蒸気機関車を思わせる煙を吐いた後、両の拳をガチンとぶつけると、 ギラついた獣の笑顔と共にゆらりと振り向いた。 「うわー、アレぶちのめしちゃうとか半端ないっすね」 そこに立つは、戸村 純和を下した修理屋、込清 三千彦。 「漁夫の利しようと思ったけど少し遅かったかな!残念!」 やや遠方、別方向からはマリアレイト・レオマを下した天才ガンナー、遊葉 天虎。 両者ともヘラヘラとした態度だが隙は微塵も見せず。 紛れもない強者を打ち果たし、展望台の屋根に集う悪鬼羅刹。 しかし生き残りが三人と言うのは誰にとっても都合が悪かった。 誰かを攻めるということは、残りに隙を晒すことになる。 かといって二人まとめて相手取るというのも良策とは言えぬ。 我道、遊葉が相手の観察に徹しようとした時、軽い声が響く。 「あんた喧嘩屋の我道 蘭だよな?裏にいる奴らだったらみんなあんたを知ってるよ!」 先手を打ったのは三千彦。 会話の成立が能力のトリガーゆえ、フレンドリーに、自然に話しかける。 しかし我道、会話に応じない。 三千彦を睨みつける。 戦闘の前にペラペラと喋るときは 素人が恐怖を誤魔化しているのか 戦闘狂がハイになっているのか 会話により何かから目を逸らそうとしているのか 単純にイカれてるのか ――会話が攻撃につながるのか 三千彦は戦闘狂には見えない。素人にも見えない。 そしてなにより。 長年喧嘩屋として闘争の世界に身を置いていたからこその勘が、 会話に応じるな と告げる。 だからこそ我道は沈黙した。 しかし。 「なんなの?御託はいいから始めましょ」 遊葉は応じてしまった。それを失態と責めるのは酷だろう。 遊葉は19歳。ベテランの喧嘩屋と同じ勘を持てという方が無茶な話だ。 ―――会話成立。三千彦は言葉を放った。 「あんた達(・ ・ ・ ・)さあ、トラックにまとめて挟まれたことなんてないだろ?」 瞬間、巨大な黒いもやが我道と遊葉の横に発生。 あっという間に二人まとめて挟み込んだ。 『百聞は一見に如かず』の能力対象に制限はない。 複数人であろうと能力対象だ。 そして彼女達は会話に応じた。 少なくとも三千彦はそう認識した。 (集団の代表との会話は!集団との会話と一緒っすよ!) ベキベキと二人が密着し、全身の骨が砕ける音がスカイツリーに響く。 即座に三千彦は畳みかける。 二対一の構図を作った以上、最大火力で反撃の間を与えず潰し切るしかない。 『百聞は一見に如かず』は特性上即死級の一撃を加えられえない。 大ダメージの積み重ねで殺すしかないのだ。 『ぷきー!ぷきー!』 「…グァ!…てっめえ!何…しやがります!」 遊葉は天才だ。わずか19歳で民間軍事会社のエースとして働き、活躍してきた。 尋常ならざる精神力。気概。 突然骨をへし折られたにも関わらず、闘志は欠片も衰えず三千彦に噛みつく。 しかし今回ばかりはその精神力があだとなった。――会話成立。 「あんた達さあ!大火災に巻き込まれたことはあるかい!?」 黒炎が遊葉と我道を包む。 遊葉の肌が焦げ落ちる。我道の髪が灰になる。 「て…めえ…!」 それでも遊葉の闘志は衰えず。 我道と共に傷だらけになりながらも三千彦に向かう。 (…!マジっすか!二人ともタフすぎ!このあと撲殺予定が…変更!依然会話は成立!畳みかけるっすよ!) 三千彦は爆弾テロに巻き込まれて死にかけた人々の体験を付与しようとした。 しかしそのタイミングで。 「『儲かる桶屋』(オーキードーキー)」 遊葉の声が響く。 「うぉ!?」 三千彦の目にゴミ。一瞬ではあるが体験付与が遅れた。 その一瞬をついて遊葉は銃口を向ける。天才ガンナーの面目躍如。この場の誰よりも早く行動をした。 ―――そんな彼女の敗因は。 優秀過ぎたこと。反応が早すぎたこと。 我道よりも、この場最大の脅威である三千彦を優先し、的確過ぎる対処をしたこと。 遊葉が銃口を三千彦に向けるのに少し遅れて、我道は遊葉の心臓を貫手で破壊した。 遊葉は呻き声一つ立てずに絶命した。 遊葉のカードが我道に移る。 トラック衝突の骨折も、火災に焼けただれた体も、あっという間に癒えていく。 即座に我道は駆ける。当然言葉一つ発しない。 猛然と三千彦に近づく。 (いやいや!そんな展開アリ!?勝ち確が一転!?) あっという間に距離を詰める我道を前に、ここが肝心と確信。 三千彦は切り札を使うことを決めた。 『百聞は一見に如かず』の能力対象に制限はない。 その対象が、たとえ自分自身であったとしても(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)。 竜化能力を使い大空を自由に舞った能力者の体験を。 腕をガトリングガンに変える能力で勝ち続けた能力者の体験を。 全身から高熱を放つ男の体験を。 自らに付与する。 『百聞は一見に如かず』は対象に対し同一の体験は付与できない。 文字通り一回限りの切り札であるが、三千彦は切り時と覚悟し、能力を発動する。 「俺はさぁ!体験したことないんだよ!?こんな…!」 こんな、 こんな。 こんな…? そのあとの言葉が続かない。 肝心な場面であるのに、言葉が出てこない。 なんたることか。三千彦は自身に付与すべき体験の内容を、綺麗に忘れていた。 ◆◆◆ 「持つべきものは友達だな!」 ――それは、少しばかり前の出来事。 戸村は三千彦に徹底的に蹂躙されて敗北した。 死に際に戸村は心の中で笑った。 ほんの少し、名探偵様を欺こうとした報いにしては酷に過ぎると自嘲した。 ただやはり、何も為せず、爪痕一つ残せずにこの世から消えるのは、 世界一の名探偵の助手としてはあまりにも不甲斐ないと思った。 もはや目は焼き潰れ、体中から血と内臓が零れ続けるがなんとか言葉を紡いだ。 「…待って…おくれよ…親友…」 「?まだ息があるっすか?何か言いたいことがあるんすか?」 もはや表情も判別できない程にズタズタに切り刻まれていたが、確かに戸村は笑った。 ぞっとするような笑顔と共に、とびきりの置き土産を残した。 「…なに…君は…肝心なところで物忘れをする(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)癖があるよね?それが心配になったのさ…」 記憶改ざん完了。 死に際の爪痕。 いつ花開くか分からない呪い。 その爆弾は、三千彦にとって最悪のタイミングで炸裂したのだった。 ◆◆◆ (言葉が出てこない?切り札が!あったはずの切り札が思い出せない!?) 既に眼前には、裏社会に名を轟かす喧嘩屋、我道が迫っている。 せめて何か一言だけでも。 あらゆる人との会話を求めながら、無言で散るのだけは嫌だった。 何か!何か一言! 嫌だ!会話が出来ないまま死ぬのは嫌だ! ただでさえ我道は自分との会話を警戒している。 それはこの上もない自業自得なのだが、三千彦は必死に会話を試みた。 我道の回転拳が向かってくる。 その一撃は瞬時に三千彦の頭蓋を砕け飛ばすと確信できる猛烈な速度。 世界が緩やかに流れる。 拳が三千彦に触れる刹那、泣き笑いと共に三千彦は言った。 「楽しかったかい?」 会話を警戒していたはずの我道は、満面の笑みと共に返した。 「そりゃもう最高に!!」 直後、回転拳は到達し三千彦の頭蓋を消し飛ばした。 それでも三千彦は最期の濃密な会話に満足し散っていった。 勝者:我道 蘭 難敵を下した我道は、悠々と煙草を吸った。 静かに。穏やかに煙を吐き出した後。 軽く上を見て言葉を吐く。 「…一服待ってくれてありがとうよ。そろそろ来ていいぜ?」 上方からふわりと。 誰もが知る大スター。最前線のアイドルが現れた。 ラナン・C・グロキシニア。降臨。 ◆◆◆ 「…こいつは驚いた!本物のラナンかい?こんなところじゃなきゃサイン貰ってるな…」 驚きを瞬時に捨て、我道は構えを取る。 「総取り狙いかい?ちょいと遅かったかな!」 猛烈な殺気を噴出する我道に動じず、ラナンは語り始めた。 「総取りする気などない。君が一番よく分かっているはず」 我道は眉を軽くひそめた。ラナンの言うとおりだったからだ。 ラナンの気配自体は少し前から感じていた。 ――仮に、適切なタイミングで乱入されていたら。 少なくとも我道が勝つ可能性はかなり下がっていただろう。 その絶好の機を突かず傍観していたという事実が、ラナンの立ち位置を示していた。 「率直に言おう。…協力を要請したい」 「…協力だぁ?」 警戒を解かない我道に対し言葉を続ける。 「…一緒に優勝を目指さないか?君ほどの実力者に私がつけば勝率は跳ね上がるだろう」 協力。あまりに馬鹿げた提案。 「マネージャーに調べてもらって、ここに強者が集うのは分かっていた。勝者と協力がしたかった」 優勝者は只一人。叶う願いもただ一つ。その状況で協力者を作るなど馬鹿のすることだ。 あきれ果てた我道にラナンは告げる。 「私は死んでいい。その代わり優勝したら私の願いを叶えて欲しい」 「!!?」 自らの命は犠牲にしても構わないと、あっさり言うラナンに我道は少なからず動揺した。 一瞬考えたのち、口を開く。 「そういうの、あっさり信じるほどウブじゃねぇんだ」 始めよう、と構えを取る我道にラナンは続ける。 「私は、宇宙人だ」 沈黙。 呆れとも困惑ともつかぬ表情で我道が言う。 「…あんた、電波なアイドルじゃなかったよな…?」 我道の反応をラナンは無視する。 「この星に、我々の船団が迫っている。ステルス機能を使用し、もう月に待機している。願いで帰ってもらわねば、この星が滅ぶ」 「だからさ…」 信じない我道に対し、この上もない証拠が付きつけられる。 ラナンの顔面が、パクリと割れたのだ。 そこに在る脳髄には、青い眼球が一つと、気持ちの悪い触手がうねっていた。 《見ての通りだ。私は自殺した少女の遺体に寄生し、この星を調べていた。調査隊長ラナンだ》 顔面が割れた状態では口がないからか。 じゅるじゅると蠢く脳髄から、直接言葉が送られる。脳波か何かだろうか。 《この戦いにはこの星の命がかかっている。理解してくれると信じる》 百の言葉を覆す現実を突きつけられた我道は沈黙する。 ラナンは続ける。 《この星のために戦ってくれまいか。協力は惜しまない。この命を使っても…》 ズ、っと。 我道は手のひらを大きく広げ前に突き出し、ラナンの言葉を阻んだ。 「悪いな。そういうのはいらねえんだ。誰かの願いの為にだとかよぉ~!私の、私だけの闘争が濁っちまう」 困惑するラナンを無視して言葉を紡ぐ。 「あんたが宇宙人だろうが、地球人だろうがロボットだろうが関係ない。 私が金持ちだろうが奴隷だろうが獣だろうが、善人だろうが悪人だろうが関係ないんだ」 大きく声を上げ、構えを取る。 「私がいる。あんたがいる。それだけさ。これほど純粋な空間があるかい!?理由も!出自も!過程も!努力も!“そういう理屈”は!何もかもが関係ない!」 もはや問答無用。決定的な宣言を我道はした。 「…さあ、闘争しようぜ!!」 ◆◆◆ 「…理解しがたい。やはり地球人は下等だ。目の前の享楽にだけ生きる」 「ハ!否定できねえ!」 ス、とラナンは空を指さした。 「どうせなら、一番上でやらないか?好きだろう?高いところ」 その提案に我道は一つ笑顔で返した。 共に身体能力は抜群。外壁を伝いあっという間にスカイツリーの頂上に立った。 地上634m。この国で最も高い建造物。 七不思議に端を発した狂乱の夜、残るは我道とラナンだけだった。 裏社会に名を轟かす喧嘩屋と 戦闘訓練を受けている侵略者 二人の闘争は激しく壮絶であった。 ――善戦した。そう表現してよいだろう。 ラナンは懸命に戦った。 至近距離で『スターライト』による爆音を浴びせた。 貫手を、狙いである顔面をパクリと開くことで躱した。 巨大な音の振動を利用しツリーを揺らし、我道を突き落とそうとした。 支給されていた護身用の兵器を駆使した。 しかしそれでも、我道は止まらなかった。止められなかった。 実のところ、ラナン自身にも自らの不利は分かっていた。 “勝ち切れる可能性は低い” そう判断したからこそ蟲毒の勝者である我道に協力を要請したのだ。 最初から戦闘力という点では我道に劣るという事は理解していたのだ。 それでも食らいついた。この星の為に全力を振り絞った。 全身血と傷に濡れたラナンは、我道に対し語りかける。 「…君、さぁ…もう自分の勝ち…そう思ってないかい…?」 言葉を返さなかったが、我道は内心勝ちを確信していた。 奢りではなく事実として、順当に攻めていけばまず自分が勝つと理解していた。 「君。甘い。それは甘いよ。私には、切り札がある…。この場所で!君が相手だからこそ!出せる切り札がある!私の願いは!叶う!」 痛ましいほどの傷を負っているにもかかわらず啖呵を切る。 「…私の切り札は、アッパーカットさ…君…来いよ。そっちも、アッパーカットで来い!」 見え透いた挑発。我道のアッパーに合わせて何かをしようとしているのは明白だった。 明白ではあったが、我道にはその挑発に乗らないなどという選択肢は無かった。 「…いい!いいねえ!上等だ!いくぜぇぇ!!!」 ズンと鈍い音のする踏み出しとともに、我道は加速した。 アッパーの名手、El Finito(素晴らしい男)の異名を持つリカルド・ロペス曰く。 「アッパーはストレートとは使う筋肉が違う。ストレートが腕の筋肉で押し出すパンチなら、アッパーは肩を回転させるパンチだ」 肩甲骨と上半身を回転させて放つ一撃。 まさに我道のためにある技である。 人間には本来不可能な回転の動きを十全に活かした渾身のアッパーカット。 空気を斬り裂く音が聞こえるほどの剛腕。 その必殺の一撃に対して。 ラナンは何もしなかった(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)。 ノーガード。我道の拳を無防備に受け入れた。 拳が下顎に突き刺さる瞬間、顔面がパクリと開いてラナンの本体がむき出しになる。 「これを!このパワーを!私は待っていた!」 猛烈な一撃を推進力に、ラナンは星に溢れる夜空に射出された。 「さらばだ!我道!さらばだ!地球!私の願いは!叶う!」 いくら宇宙人とはいえ、単独での大気圏突破など難しい。 本来の姿をむき出しにしたとしても、地球の重力を振り切るにはパワーが足りない。 しかし 我道のパワー があれば。 そしてそれに 634mの高さ が加われば。 ビュンビュンとうねる風切り音と共に、ラナンは月へと向かい飛んでいった。 ◆◆◆ 重力を振り切り大気圏を突破。 宇宙空間へと飛び出たラナンは船団の待つ月へと必死で進む。 重力の縛りはもうないが、我道の猛烈な一撃で空へ射出されるというのは、人間大砲の弾になるようなものだ。 ましてや絶対零度に近い宇宙空間。ラナンの本体は多少適性があるが、それでも消耗していく。 自らを鼓舞するために、ラナンは『スターライト』を発動した。 寄生した少女に宿っていた能力はラナン自身にも引き継がれていた。 本当は自分で歌いたかったが、もはやラナンはむき出しの脳髄。 自らの口で歌う事は出来なかった。 それは、アポロ11号に積み込まれた曲。 人類が初めて月に持ち込んだ曲。 『Fly Me to the Moon』 Fly me to the moon 私を月まで連れてって Let me play among the stars 星の間で遊ばせて Let me see what spring is like On a-Jupiter and Mars 見せて欲しいのよ 木星と火星の春ってどんなのかしら In other words hold my hand これはね、『手を握って』って言っているの In other words baby, kiss me! 『キスをして』って言っているのよ! ラナンには恋なんて分からない。 キスをしてだとか。抱きしめてだとか。 実に下等極まる原始的な交流だと思っている。 それでも言葉の響きは好きだった。 もしかしたら。 もしかしたら、長い月日を過ごせば、自分も下等な感情に支配されていたのかもしれない。 それは結局叶わなかったが、恋だのキスだので一喜一憂する星の人々を守りたいとは思っていた。 我が身を犠牲にしても、守りたいとは思っていた。 地球がどんどんと遠くなる。 月がどんどんと近くなる。 体は崩れ、生命を維持するのも困難であったが、ラナンは虚空への飛翔を続けた。 何故ここまでするのか? そこまでして救う価値のある生命か? ラナンの中の冷静な部分が疑問を出すが無視をして飛び続けた。 “そういう理屈”はもはやどうでもよかった。 ステージで歌を歌った。どうしようもなく楽しかった。 応援してくれる人々が愛おしく、キラキラと輝く日々だった。 たったそれだけでよかったのだ。 “たったそれだけ”は、十二分に命を賭けるに値する何かだった。 孤独なる飛翔の末、ラナンは月に辿り着いた。 意識が遠のく。むき出しの体は凍り付き、全身が軋むが、今にも潰えそうな命に活を入れ脳波を送る。 《船団!応答されたし!コード143XA!単独調査長、ラナンである!》 異様なタイミングでのラナンからの通信に、船団がざわつく。 数分の混乱ののち、船団のトップが通信をつないだ。 《久しぶりである。ラナン殿。…その、どうしたのだその姿は!?》 《…申し訳ないが、前置きは省略させていただく。私が告げるのは緊急かつ重要な事実である!》 緊張感のある言葉に、調査船団のトップ、提督が息を飲む。 《この星には!地球には!我々の侵略は筒抜けであった! 私は捕捉され、手酷く痛めつけられ命からがら脱出をした! 単独で宇宙遊泳せざるを得なかった状況、このボロボロの体こそが証左である(・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・)!!》 呆然とする船団にラナンは畳みかける。 《この星の生命体は下等で野蛮ながら暴力的で戦闘力だけは高い! 我々船団が負けるとは思えぬが、多大な犠牲の果て、得るものは少ないと断定できる!》 「そういうところを含めて愛おしかった」 とは口には出さぬラナンだけの想い。 《本惑星は侵略の価値なし!即刻引き上げよ!単独調査長、ラナンの最期の注進である!!》 痛いほどの静けさののち、提督は告げた。 《命がけの注進痛み入る。貴殿ほどの勇士をそこまでの姿にする惑星を相手取るのは、危険であると判断する。…ご苦労であった。我らは去る。弔い一つできぬことを許されたし》 言うが早いか、船団は地球に届くほどの眩い光を放ち消えていった。 ラナンの切り札は成った。 願いが叶ったことを見届け、ゆっくりと意識を閉じた。 最期に一つ曲を流す。 『What a wonderful world』 優しい、塩辛さを感じさせる声が無音であるはずの宇宙に響いた。 自らの口で歌えなかったことだけが、ラナンの悔いだったという。 And I think to myself What a wonderful world そしてひとり思うんだ、 なんて素晴らしい世界だと。 Yes, I think to myself What a wonderful world そうさ、ひとり思うんだ、 なんて素晴らしい世界だと。 Oh yeah ◆◆◆ 我道 蘭が煙草に火をつける。 満足そうに、深く、深く吸い込む。 見上げる空に、一瞬眩い光が灯った気がしたが、我道にその意味は分からなかった。 スカイツリーの頂上。この国で一番高い建造物のてっぺんで、我道は空に向けてゆっくりと煙を吐いた。 いつものギラついた笑顔ではなく、恍惚とした表情で煙を吐いた。 「…い~~い闘争だったなぁ…」 風もない夜。静かにゆっくりと空に向かって昇っていく煙は、今宵の好敵手達に対する弔いの煙でもあった。 ――余談ではあるが。 スーパースターであるラナンの失踪は、国内のみならず世界中に衝撃を与えた。 ありとあらゆる国の、ありとあらゆる人種の人々が彼女を惜しみ、彼女の身を案じた。 最後に目撃されたのがスカイツリー付近という事から、彼女は天へと消えたという眉唾物の噂も飛び交った。 今日も彼女のファンは流れ星に祈る。 「彼女が無事でありますように」と。 綺麗な月を見るたびに祈る。 「どうか彼女が幸せでありますように」と。 彼ら彼女らが祈る星空を守ったのが、 スーパースターその人であることを知っているのは、この星には一人もいなかった。 戦場:スカイツリー 込清 三千彦:死亡 マリアライト・レオマ:死亡 遊葉 天虎:死亡 九頭龍 次郎:死亡 戸村 純和:死亡 七番目の七不思議の七人目:消滅 ラナン・C・グロキシニア:死亡 最終勝者:我道 蘭 Try to the next spread!
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概要 冒頭部分引用 いまの若い人は知らないと思うけど、70年代の一時期、千葉は島だった。 きっかけは、もちろん「関東地獄地震」。この地震によって、千葉は本州から切り離された。 リンク 『俺が知ってる千葉』は以下のリンクから読むことが可能である。 『俺が知ってる千葉』
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まえがみぱっつんすとれーと【登録タグ Naskey ま 初音ミク 曲】 作詞:Naskey 作曲:Naskey 編曲:Naskey 唄:初音ミクV4X 曲紹介 でもそんなキミのことが好きーー 21作目。 Illust:hiro地球人様 歌詞 (ピアプロより転載) キミは何をしてるかな ケイタイを見ながら となりにもしキミがいたなら 明日の今ごろなんて キミとふたりで 手を繋いで笑ってる 画面の向こうがわで 笑ってるすがた 思い浮かべたら 会いたくなってた 前髪ぱっつんストレート ちょっと短い髪揺らして お気に入りのスカートを ひらり靡かせて そろそろキミが着く頃だ 改札抜ける頃には 昨日の淋しさも忘れてた ドリンクを片手に持つ キミの横顔は 不意にキュンと胸をしめ付ける 今日はどこに行こうかな 後はもうノープラン 洋服でも見たいな ショーウィンドウの向こう スポットライトに 照らされていた コーデを指差す ちょっぴりわがままな私 きっと許してくれるキミは でもたまには 怒られるときもあるけど 本当に好きなんだから きっと買ってはくれないの でもそんなキミのことが 好きなの コメント 再生回数伸びてて嬉しい!本当良い曲だから。 -- うめこんぶ (2020-01-03 00 36 33) 古きボカロ曲のいいところを集めたようないい曲 -- ぺんぎん (2020-01-03 14 43 38) 名前 コメント
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“おバカ”なんて そんなこと言っちゃダメです ふわふわ 「バカお」だけがやってくる 気持ち悪い声が近づいてくる ふわふわ 「バカお」だけがやってくる 酸っぱい香りがする ちぐはぐな雌でいいもん 発射しちゃおw ブサイクもあたりまえだよね バカおを 許してあげなさい ゴム置かないでね ゴム置かないで 好きに寝させてね 害悪にはわかんない ステキ キセキ 完ペキ! “おバカ”なんて そんなこと言っちゃダメです とてつもない寝顔 エンジェルなバカお b・a・k・a・o fool go go fool「バカお」LOVE ひぇひぇ 「バカお」だけが笑ってる ピンクの童貞が おどけてる ひぇひぇ 「バカお」だけが笑ってる 割れソフトばかり集めてる 特別なことじゃないもん いっしょに寝よう 避妊具を無駄使いせずに ぜんぶぜんぶ 置いてあげなさい 無視しないでね 無視しないで 見守っててね バカおは知らない 寝顔 発射 エンジェル! “気持ち悪い”なんて そんなことわかっています 手をつないだらすごい どんびきなせいとかい ちぐはぐな雌でいいもん 発射しちゃおw ブサイクもあたりまえだよね バカおを 許してあげなさい ゴム置かないでね ゴム置かないで 好きに寝させてね 害悪にはわかんない ステキ キセキ 完ペキ! “おバカ”なんて そんなこと言っちゃダメです とてつもない寝顔 エンジェルなバカお b・a・k・a・o fool go go fool「バカお」LOVE b・a・k・a・o fool go go fool「バカお」LOVE
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それは、忘れたころに届いた。 いや、忘れやしないけれど・・・ ようやく そう、ようやく あなたのいない生活に慣れ始めたころ 一人の生活に慣れ始めたころに、届いた。 ポストの中に、小包。 何気に手に取る。 宛名の文字を見て、心臓がびくんと波打つのがわかった。 差出人の名前は書かれていなかった。 けど、わかる。 丸くて、クセのあるちっさな文字。 っ、ゆかちゃんだ! 慌てて部屋に戻り、無心で封を開く。 中には、一枚のDVDが入っていた。 それと、メモ。 『誰からか、わからんかったら、見ないでね』 わからないわけないじゃん! 指先が震えてることに気付く。 ふぅー・・ 一つ深呼吸。 再生。 画面が切り替わる。 かちゃかちゃと、カメラをセッティングしてる姿。 顔はまだ、映ってない。 けど、ゆかちゃんだ。 ふらっと、現れる。 ね?ほら。 紛れもなく、愛しいあなたの姿。 それだけで、 もうのっちの胸はいっぱいで・・ うまく、息もできない。 相変わらず、きちりと揃えられた前髪。 そこから、ちょこっと覗く、つぶらな瞳。 画面越しに、目が合う。 ふにゃっと笑う、その笑顔は あの頃と、なんにも変わってなくて 変わってないからこそ、泣きそうになる。 『・・・久しぶり、、、のっち』 うん、久しぶり。 『・・・怒ってる?・・・よね…』 別に。。怒ってるわけじゃないよ。 『ごめんね、突然いなくなって・・いっぱい傷つけて…』 少し、、、痩せた、、、かな? 天邪鬼。 素直になれない、あなたはいつも ホンネを話す時は、今みたいに、視線が少し揺らぐ。 『今日はね、、、久しぶりに、頭がスッキリしてるんだ。 だから、ね。今日しかないって、、そう思って』 視線が、のっちを捕らえて、、止まる。 『・・・あの日のこと、、、覚えてる?』 うん・・・ 『ずっと、一緒にいようね、、、そう誓った日のこと』 うん・・・ 『そのとき、、、ゆかの言ったコトバ、、、も・・?』 うん・・・ 『ズルくて、、、ごめんね』 そう言って、ぺろっと舌を出す。 あぁ、、もう・・・ のっちが、その表情に弱いの知ってんでしょ? 『でも、、言ったじゃん?ゆかは、ワガママだよって』 わかってるって。 『それでもいいよって、そう言ったのは、のっちだからね?』 意地悪そうに笑う。 うん、だからわかってるって。 『・・・・でも、、、一方的すぎた、、、よね?』 ちょっとね 『うん、、、でもやっぱ、、、弱っていくゆかじゃなくて 元気だった頃のゆかを、のっちには覚えていて欲しくって…』 あぁもう、そんな瞳で見つめないで・・・ 『だって、、、これからのっちは、ゆかと過ごした時間の 何倍もの時間を、、、、 伏せられた、瞳。。。 のっちも、熱いなにかが込み上げてきて 視界が滲む。 コトバも、それに溶けて流れる。 『・・・ゆか、、、先に行ってるね…?』 『寂しいからって言って、前倒しにしてこっち来ちゃダメ、だよ?』 あぁ、、、もう・・・ 『あっちでさ、いろんな話聞かせてもらうんだから。 そんときはきっと、いっぱい、、、いっぱい時間があるから、、、 きっと、あるから・・・ゆかを飽きさせないほど、たくさんの 話をできるように、、、、らしく、、、のっちらしく、生きて、、ね?』 ゆかちゃんのいない、、、この世界、、で? あぁ、、、、、運命ってのは、なんて残酷なのさ…? 『・・・ちょっとのお別れ、、、だよ。 ゆか、ずっと待ってるから、、、、きっと、また会えるから』 なんなんだよ、、もう。。。。 全身を、、 いや、心臓を直に ぎゅっと掴まれたみたいに苦しい・・・ それ以上に、愛しい。 もうなんで、、こんなにも 泣きたいほど、愛しいんだよ。 『あ、、、のっち泣いてる・・・?』 画面の中の、ゆかちゃんは 笑ってるけど、、、瞳は潤んで、紅い。 すっと、腕が伸びてきて そっと、涙を拭うように 細く長い指先が動く。 『さみしい、ね・・・・』 うん、、、さみしいよ・・・ 『・・・でも、、、もう、泣かんでよ…? ゆかのワガママで、いっぱい泣かせちゃったけど・・ もう、、泣かないで、ね?』 その指先がほんとに触れられたかのように 頬を伝うそれが、少し落ち着いた、、、ように感じた。 『のっち、、、ねぇ、、、、笑ってよ? ゆかはね、その、のっちの困ったような笑顔が大好きなんだよ?』 困ったような、、、て・・・ 自然と頬が緩む。 『ありがと。。その笑顔があれば、、、ゆかは、穏やかに、、、いける、よ』 っ! その笑顔は 今まで見た、どんなのより 穏やかで、せつなくて、儚くて・・ 最高に、甘い甘い、、、、幸せそうなものだった。 伸びていた腕。 手のひらは開かれていた。 すっと、同じように伸ばし そっと、、、 手のひらを重ね合わせた。 ブラウン管を通してんのに、、、 あったかい、彼女の熱が伝わってくるようで・・・ 『愛してるよ、のっち』 愛してるよ、ゆかちゃん 囁いたのは、同時。 にこって、やわらかな笑顔のゆかちゃん。 次の瞬間には 『あぁ、もう時間ないかもっ! ごめんね、もうそろそろ』 そういって、バタバタし始める。 『ほんと、最近、すぐにわかんなくなっちゃうんだ。 だから、これも早く、ちゃんと送れる準備しなきゃ! せっかく、“最後の挨拶”できたんだから・・・』 はは、、、忙しないなぁ。 …最後、、か。。。。 『じゃぁね、のっち!』 プツン それは、あまりに普通に 「じゃ、また明日」 そんな感じで 閉ざされてしまって。 感傷に浸ることを、許さないかのように。 浸る必要なんかないんだよ? そう言わんばかり、に。 まいったな、ほんと。 先は長いな・・・ でも、、、うん またね、ゆかちゃん。 今度、出逢ったら もう、絶対に離さないから、、、ね? だから、その日まで あなたの あなたとの キヲクノカケラを胸に。
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【検索用 りかしつかまってる 登録タグ VOCALOID じたばたP り 初音ミク 曲 曲ら】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:じたばたP 作曲:じたばたP 編曲:じたばたP 唄:初音ミク 曲紹介 「Compilation Album 理科室 アルカリ盤 」収録楽曲。 歌詞 (歌詞カードより転載) 誰もいない山奥 ぽつり廃れた学校 黒井カーテンが風で揺れてる ずっと止まった時計 ボロボロになった杭 チョークで汚れた古い黒板 理科室で笑う生徒たち 実験器具持ち帰る 大人になり家を出て どこか遠い場所へ行く 壊れたドア 割れたガラス 枯れた大きな赤い花 倒れているガスバーナー 皆ここで待ってる 昔々の話 木曜日の二時間目 はしゃぎながら理科の実験する 綺麗な水槽には 可愛い一匹の亀 窓から入るキラキラの光 ラ ラ ラ ・・・ ここは山の奥の奥 誰も居ない村の中 人が居ない学校の 使われてない理科室 壊れたドア 割れたガラス 枯れた大きな赤い花 倒れているガスバーナー 皆ここで息をしてる 汚い床と顕微鏡 クモの巣が張った水槽 皆ここで息をしてる 子供たちを待ってる コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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【登録タグ C VOCALOID ノア 初音ミク 曲】 作詞:ノア(Noah) 作曲:ノア(Noah) 編曲:ノア(Noah) 唄:初音ミク 曲紹介 星空、高原、湖、綺麗な光景を思い起こさせる歌詞とメロディが合わさった爽やかな歌 軽快なダンスポップ 歌詞 (動画より書き起こし) 星空 私を 包んで 行きたい ここから どこか遠くへ まだ 知らない場所 風に ふわり ゆられ 本棚の2段目の 右から5番目の本に そっと 触れる 秘密の呪文2回 呟けば そこはもう知らない場所 まっすぐに広がってる草原を 全速力 駆け抜けたら 高い丘から 遠い海まで見渡せる あなたと 一緒に 行きたい ここではない どこか遠くへ 今夜は 会えるのかな 月が ぽわり 照らす 透明な淡い桜色の 瞳の色した子猫を胸に 大きな螺旋階段を降りる あの湖見たくて 緑の森 散歩しながら ストーンサークル通れば 光りに溢れてる そこはもう妖精の国 あなたと 眺めた 星空 いつか あの彼方へ 行きたい ドレスなんて脱ぎ捨て この手 つなぎ 共に… コメント さわやかな曲はほかにもあるけれど、他のそういう曲とは何か違っている気がする(もちろんいい意味で) -- NOSSI (2012-01-04 21 34 34) めちゃ爽やか\(^o^)/ 何故に伸びない -- 名無しの権兵衛という名前 (2012-02-26 20 18 32) 綺麗!ノアさん気に入った -- 名無しさん (2016-10-23 19 30 35) ノアPさんのミクノポップ大好き! -- 名無しさん (2023-01-30 22 51 38) 名前 コメント
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困ってる人 Pt.2 傭兵部隊評価:3レベル 場所:ライラ共和国内 BENFLED 雇用主:ライラ反乱軍(インディペンデント扱い) 敵対勢力:シュタイナー家 ミッションタイプ:襲撃 難易度:20 トン数制限:160 ライラ反乱軍 「」 星系地図